社長に就任し、会長と外部講習やセミナーなどへ参加が増え、様々な業種のとの交流が増える中、ふと周りを見回すと、タバコを嗜む人が少ないことがわかった。
この業界はタバコを吸っていることが当たり前になっていることが急に恐ろしくなった。このことが長年の喫煙習慣を断つ決意を固めるきっかけとなった。
初めの数日は苦しい戦いだった。習慣を変えるのは容易ではなく、手持ち無沙汰になる瞬間が多く、何度も誘惑に駆られた。そんな時、支えになったのは、家族への宣言だった。
新たな趣味としてジムへ通うようになった。初めてのランニングは息が切れるばかりだったが、日に日に体が慣れてくるとタバコへの欲求も少しずつ減り、新鮮な空気をいっぱいに吸い込むと体の中から健康がよみがえる感覚が心地よかった。
禁煙から半年ほど。禁煙習慣を断ち切ることに成功し、健康な生活を取り戻した。新たな趣味や習慣を通じて、日常が以前よりも充実したものとなった。
不思議なことに、事務所内はもともと禁煙で建物内で吸うものはおらず、やにの後もない。今までは事務所とは離れてはいるものの休憩室が社内唯一の喫煙場所となり、タバコを吸う一部のドライバーのたまり場となっていた。コミュニケーションの一部であることを考慮し、全面撤廃はしなかった。そのためか喫煙率低下には寄与しなかった。
運んでいる商品の特性上、段ボールが多く使われていたため、荷台は当然に禁煙だったが、狭いキャビン内で喫煙するとにおいが衣服に染み付き、商品の箱に移るなどし、受け取り手である顧客に不快感を与え、製造してる会社様のイメージの低下を招いてしまうことが懸念されたために、踏み切った。
しかしながら、愛煙家の役職者から待ったがかかった。ドライバーが辞めてしまう。そんな懸念があったからだ。そのため、停車中の電子タバコのみの許可を出さざるを得なかった。
2022年2月には、紙タバコも禁止し、屋外喫煙所も電子タバコのみである。同年11月には、事務職員の禁煙時間の制限を行った。
ドライバーは休憩時間の取り方に決めがあり喫煙が出来る回数は少ない。しかし、事務職員はいつでも喫煙所を使用できた。役職者の中でタバコを吸わない管理部部長がこれに疑問を呈したのがきっかけだった。
禁煙外来で禁煙に成功したのは今のところ1人だが、健康診断後の面談で本数が減っていたり、軽いものにしていたり、やめることを考えている人もいることがわかっている。しかし、絶対やめない。たばこ代がもっとあがれば考えるなどもいる。嗜好品であることもあり難しい問題である。
日本医師会のHP「禁煙は愛」にある、「ニコチン依存症という病気」を見て、禁煙外来だけでなくもっと禁煙を身近にする必要があると考え、禁煙ガムの配布の検討に入った。非喫煙者にインセンティブがないため、費用をかけるのはためらったが、希望者のみの形で許可することになった。